用語集
短期資産
短期金融市場で運用・調達され、1年以内に償還が来る資産のことです。国庫短期証券、米国財務省短期証券、預金、短期社債、コマーシャル・ペーパー、譲渡性預金、コール・ローンなどがあります。
GPIFでは現行の基本ポートフォリオにおいて、円建ての短期資産は国内債券に、外貨建ての短期資産は外国債券に区分しています。
中期目標
GPIFの一定期間内における業務運営の目標は、他の独立行政法人と同様、主務大臣が定めることとされています(独立行政法人通則法)。厚生労働大臣により定められた「GPIF が達成すべき業務運営に関する目標」を中期目標といいます。GPIFの中期目標期間は5年間です。
超過収益率
運用ポートフォリオの収益率が、目標とするベンチマークの収益率(市場平均収益率)をどれほど超過したかの差をいいます。
超長期投資家
一般的に数年から数十年の期間で投資を行う投資家を長期投資家と言いますが、超長期投資家とはさらに長期の「世代をまたぐ投資家」のことを指します。GPIFは100年を視野に入れた年金制度の一端を担う超長期投資家です。
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TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)
Task Force on Climate-related Financial Disclosureの略称。各国の中央銀行や金融当局で構成される金融安定理事会(FSB)により、2015年に設立されました。2017年には企業や金融機関に対し、気候変動が財務に与えるリスクや機会に関する情報開示を提言しました。GPIFは2018年にTCFDへの賛同を表明し、TCFD提言に沿った情報開示を行っています。
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ディスクロージャー(情報開示)
情報開示または情報公開という意味で、企業や金融機関などの法人が業務内容等を広く一般に開示することをいいます。GPIFでは、各年度の業務概況書や四半期の運用状況等を公表しています。
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定性評価
投資方針、運用プロセスや組織・人材など、数値化できないデータを用いて、運用機関の運用能力を評価することです。GPIFでは、「定量的な実績を勘案した定性評価」に基づいて運用受託機関を評価・選定しています。
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定量評価
過去の運用実績など、数値化できる定量データを用いて、運用機関の運用能力を評価することです。GPIFでは、「定量的な実績を勘案した定性評価」に基づいて運用受託機関を評価・選定しています。アクティブ運用においては、定量評価部分について、データサイエンスに基づく分析を活用した評価・選定を行っています。
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デュレーション
債券運用において、利子及び元本を回収できるまでの期間を現在価値で加重平均したもの。将来受け取る予定のキャッシュフロー(満期までのそれぞれの期間においては利子、最終年は利子 + 元本)を最終利回りで割引いた現在価値に、実際に受け取ることができるまでの期間(経過年数)を乗じて、それぞれの期間において発生する現在価値の合計で割ります。これは債券投資の平均回収期間を表します。また、デュレーションは、金利の変動に対する、債券価格の変化率を表す指標としても用いられます。これは修正デュレーションと呼ばれるもので、デュレーションを(1+最終利回り)で除して求めることができます。例えば、修正デュレーションが1の場合、金利が1%上昇すると価格は概ね1%下落することとなります。修正デュレーションが大きいということは、金利リスクが大きいことを示します。
なお、MBS、ABSなどについては実効デュレーションを用います。実効デュレーションとは、期限前償還などのオプション性の影響を調整したものです。
例えば、残存期間3年、利子3%(年1回)、最終利回り4%の債券のデュレーションと修正デュレーションは次のように求めることができます。
経過年数 | キャッシュフロー | 現在価値 | デュレーション | 修正デュレーション |
---|---|---|---|---|
1年 | 3円(利子) | 2.88円 (3÷(1+0.04)) |
0.03年 (2.88÷97.22) |
2.91÷(1+0.04) |
2年 | 3円(利子) | 2.77円 (3÷(1+0.04)2) |
0.057年 (2×2.77÷97.22) |
|
3年 | 103円 (利子+元本) |
91.57円 (103÷(1+0.04)3) |
2.83年 (3×91.57÷97.22) |
|
合計 | 109円 | 97.22円 | 2.91年 | 2.80 |
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デリバティブ
債券、株式、外国為替、金利など、伝統的な金融取引の相場変動によるリスクを回避するために開発された金融商品の総称です。金融派生商品ともいいます。基本的なものとしては、以下の3つがあります。
- 先物:ある資産を、将来のある期日に、一定の価格で売買することを約束する取引
- オプション:ある資産を、将来のある期日に、一定の価格で売買する権利の取引
- スワップ:将来の一定期間にわたり、あらかじめ決められた条件に基づき、金利や通貨などの異なるキャッシュフローを交換する取引。同じ通貨の固定金利と変動金利を交換する金利スワップなどがあります。
さらには、これらを組み合わせた多種多様な取引もあります。
GPIFは、法令に従い、運用に係る損失の危険の管理を目的として、デリバティブの一種である株価指数先物を活用しています。
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投下元本平均残高
期初の運用資産時価に期中に発生した資金追加・回収(=キャッシュフロー)の加重平均を加えたものです。総合収益額を発生させた元手がいくらであったかを表します。GPIFでは、市場運用資産については、時価主義、発生主義の会計処理を行います。従って、年度初元本には前年度末評価損益と前年度末未収収益を含み、年度初元本は年度初運用資産時価と一致します。
(計算式)投下元本平均残高 = 期初の運用資産時価 + キャッシュフローの加重平均
キャッシュフローの加重平均 =Σi(i 番目のキャッシュフロー × i 番目のキャッシュフロー発生時から期末までの日数 / 期中の合計日数)
投資一任契約
投資家が、信託銀行や投資顧問会社などに、投資判断や売買など資産運用に関する権限を一任する契約のことです。
法令で「外部運用機関への委託運用においては、投資判断の全部を一任する投資一任契約の締結により行う」と定められています。これによって、GPIFが金融市場や企業経営に直接の影響を与えない仕組みとなっています。
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投資事業有限責任組合/リミテッドパートナーシップ(LPS)
投資事業有限責任組合/リミテッドパートナーシップ(LPS)は、法令や契約により設立され、組合員が共同で主として投資事業を行う組合です。組合の業務を執行し、債務について無限責任を負う運用者(無限責任組合員)と、債務について有限責任を負う投資家(有限責任組合員)によって構成されます。
2017年に、GPIFによる年金積立金の運用の対象となる有価証券として、投資事業有限責任組合/リミテッドパートナーシップ(LPS)を追加する旨の政令の改正が行われました。LPSを活用すると、投資対象との間の介在者が減り、投資スキームはシンプルになります。これにより、投資先の情報をより速やかに把握し、リスク管理の強化を図りながら、実質的なリターンの向上が期待できます。海外の年金基金等の機関投資家の間でも、オルタナティブ資産運用の際の一般的手法として導入されています。
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独立行政法人会計基準
独立行政法人の会計処理及びその財務諸表の監査に当たって依拠しなければならない会計基準をいいます。2000(平成12)年に独立行政法人会計基準研究会により定められました。
この原則では、有価証券の評価を行う際には、(1)売買目的の有価証券については、時価により評価を行い、評価差額を損益計算書に当期の損益として計上し、(2)満期保有目的の債券については、原価法(引受価格と券面額との間に差がある場合には、償却原価法)により評価を行うこととされています。
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トラッキングエラー
ポートフォリオのリスクを測定する基準の一つで、目標とするベンチマーク収益率(市場平均収益率)と運用ポートフォリオの収益率との差(超過収益率)の標準偏差で表すものです。
計算方法としては、ポートフォリオの実績の収益率から計算する方法(実績トラッキングエラー)と、将来の収益のバラツキについて、分析ツール等を用いて構成される銘柄間の相互依存関係を統計的に推計して計算する方法(推定トラッキングエラー)があります。トラッキングエラーが大きいということは、運用ポートフォリオがベンチマークに対してリスクを大きくとっていることを示します。
トランジション・マネジャー
資産配分の変更やベンチマークの変更等に伴ってファンド間で資産移管が発生する際、取引の一元管理サービス(トランジション・マネジメント)を行う運用受託機関のことです。新旧ファンドの構成銘柄のマッチングや、取引方法の管理による移管コスト削減に加え、執行タイミングを調整して市場へのインパクトを抑制する取組みを行います。