「2022年度 ESG活動報告」を刊行しました
2023年8月25日
年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は環境・社会・ガバナンス(ESG)に関する取組みとその効果を国民の皆様にご報告するため、「2022年度 ESG活動報告」を刊行しました。
2022年度 ESG活動報告では、同年度のESGに関する取組みの紹介やポートフォリオのESG評価などに加え、「気候関連財務情報開示タスクフォース」(TCFD)の提言を受けた分析において、新たに「ボトムアップアプローチに基づくGHG削減貢献量分析」や「GPIFが投資しているESG債の対象プロジェクトのインパクト計測」などを行いました。また、試行的に「自然関連財務情報開示タスクフォース」(TNFD)の提言に沿った分析も実施しました。
GPIFは、ESG投資のPDCAサイクルを回すため、ESG投資が期待通りに金融市場の持続可能性やリスク調整後のリターンの向上につながっているのかを測定し、長期的な効果の検証につなげていきます。
なお、今回から、気候変動リスク・機会分析に特化した「ESG活動報告別冊」の取りまとめを行わないこととし、これまで別冊に掲載してきた分析の詳細については可能な限りESG活動報告に盛り込みました。また、参考資料として、分析を委託した会社が取りまとめた「報告書」を公表していますので、併せてご参照ください。
<「2022年度 ESG活動報告」の主なコンテンツ>
【第一章】ESGに関する取組み
- ESG指数の採用とESG指数に基づく運用
- 指数会社・ESG評価会社へのエンゲージメント
- 株式・債券の委託運用におけるESG
- スチュワードシップ活動とESG推進
- オルタナティブ資産運用におけるESG
- 投資におけるESG及びSDGsの考慮に係る俯瞰研究
- GPIFのスチュワードシップ活動やESG投資に関連したアカデミアによる研究
- スチュワードシップ活動・ESG投資の効果測定プロジェクト
- ESG活動の振り返りと今後について
【第二章】ESG活動の効果測定
- ESG指数のパフォーマンス
- ポートフォリオのESG評価・ESG評価の国別ランキング・ESG評価間の相関
- 日本企業におけるジェンダー・ダイバーシティ
【第三章】気候変動リスク・機会の評価と分析
- ポートフォリオの温室効果ガス排出量等の分析
- GHG情報開示・目標設定状況に関する分析
- 気温上昇ポテンシャル(Implied Temperature Rise)分析
- Climate Value-at-Riskを用いた不動産ポートフォリオの分析
- ボトムアップアプローチに基づくGHG削減貢献量分析
- GPIFが投資しているESG債の対象プロジェクトのインパクト計測
- 生物多様性を含む自然関連リスク及びTNFDトライアル分析
<宮園理事長コメント>
GPIFでは、年金積立金の持続可能性を高める上で、投資においてESGを考慮することが重要であるとの考えから、2015年の国連の責任投資原則(PRI)署名以降、ESGに関する様々な取組みを進めてまいりました。
気候変動やサプライチェーン、人的資本など、考慮すべきESG要素は、年々広く、深くなっていると感じます。それは流行というような軽薄な言葉で表現できるようなものではなく、考慮すべき深刻な環境や社会の課題が増大しているからだと思います。今回のESG活動報告では、ESG債で資金調達されたプロジェクトのインパクト計測や、TNFD提言に沿った生物多様性や自然資本に係るリスクについての試行的な分析など、分析の範囲を拡大しています。
テーマによって運用資産に与える影響の大きさには違いがありますし、委託運用を中心とするGPIFにとって、効果的な対策が取れるものとそうでないものがあります。社会において注目が高まっている様々な課題に対しては、常にアンテナを高くして、これからも情報収集などに努めていきます。