よくあるご質問
- QGPIFは資産運用にかかわるリスク管理をどのように行っているのですか。
年金積立金の運用は、専ら被保険者の利益のために長期的な観点から安全かつ効率的に行うことにより、将来にわたって年金事業の運営の安定に資することを目的として行われます。また、厚生労働大臣により定められた「中期目標」においては、「長期的に年金積立金の実質的な運用利回り(年金積立金の運用利回りから名目賃金上昇率を差し引いたもの)1.7%を最低限のリスクで確保すること」が要請されています。
昨今の市場・経済環境は不安定かつ不確実性が高い状況でありますが、GPIF で重視しているリスクは、「市場の一時的な変動による短期的なリスク」のことではなく、「年金財政上必要とされている長期的な収益が得られないリスク」のことです。
長期的な運用においては、短期的な市場の動向により資産構成割合を変更するよりも、基本となる資産構成割合(基本ポートフォリオ)を決めて長期間維持していく方が、効率的で良い結果をもたらすことが知られています。2020年度から新たな基本ポートフォリオに移行しましたが、長期の運用実績の大半は基本ポートフォリオによって決まるとされていることから見ても、基本ポートフォリオが運用リスク管理の根幹であると考えています。
そして、この基本ポートフォリオを適切に管理するとともに、複数の資産への分散投資、資産全体・各資産クラス・各運用受託機関等のそれぞれの段階でのリスク管理を行いつつ、資産全体及び各資産ごとのベンチマーク収益率を確保できるよう、様々な指標を複眼的にモニタリングし、一定の対応が必要と認められる場合には、あらかじめ定められたルールに基づき、適切な措置を講じています。
このような運用リスク管理の基本的考え方は、経営委員会で制定した「運用リスク管理規程」に「基本方針」という形で明文化されています。この基本方針を踏まえ、市場リスク、流動性リスク、信用リスク、カントリーリスクを適切に管理するとともに、国内外のマクロ経済動向や地政学リスク、トラッキングエラー、VaRやストレステスト等の各種リスク指標を適時把握し、投資委員会や運用リスク管理委員会で議論し、経営委員会にも定期的に報告するなど、長期的なリスク・リターンを勘案した適切な措置を講じています。