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2024年度は2名の新卒職員がGPIFに入職しました。各業界での経験を生かしてGPIFに入る職員が多い中で、GPIFの前身となる組織も含め、約20年ぶりの新卒採用再開となりました。新人職員の目に映ったGPIFのリアルな姿や、意外に思える働き方、目指したい未来などについて、先輩職員が聞きました。
投資運用部
投資調査グループ 企画役
2023年3月入職
(中途採用・先輩職員)
投資運用部
投資調査グループ 課員
2024年6月入職(新卒)
投資運用部
投資調査グループ 課員
2024年4月入職(新卒)
竹本
私がGPIFに入職したのは2023年です。前職で培った金融の知識や経験と、学生の時に学んだデータサイエンスの双方を生かしたくて、数学的な分析を駆使するクオンツ職を探していました。GPIFがデータサイエンスを生かして運用を高度化していくというスローガンを掲げていると知り、ここなら分析結果を実際の運用に直結させてクオンツ冥利に尽きる仕事ができるんじゃないかと思って、入職したわけです。二人がGPIFを選んだきっかけは何でしょう?
宗田
生命系の専攻だったので、もともとは製薬やヘルスケア産業に携わりたいと思っていましたが、一方でデータサイエンスの知識を生かしたいという思いもあり、それを金融と製薬のどちらで実現していくべきか悩みました。GPIFへの入職を決めたのは、これまで培った理系の知識が生かせることに加えて、公共的な仕事に携われることに気づいたからです。その中でも最大の決め手になったのは、最終面接で植田理事兼CIO(最高投資責任者)が語ったGPIFの今後のビジョンへの熱い思いでした。
門井
データサイエンスやコンピュータサイエンスが僕のバックグラウンドになっていて、そこで学んだアカデミックな手法を、投資や金融などを巡る様々な課題の解決に役立てたいというのが入職した理由です。それに加えてGPIFは、就職活動中に見た企業のどこよりもユニークな職員が多いという印象を持っていました。こういう人たちと一緒に働けたら面白いだろうし、自分の個性や能力も生かせるのではないかと思ったわけです。
竹本
入職して、GPIFのイメージは変わりましたか?私の場合は、資産運用などに関して、良いものは取り入れるという柔軟さとスピードに驚かされました。公的な事業に関わる組織にありがちな、「堅くて何ごとにも時間がかかる」というイメージは大きく変わりました。
宗田
やはり独立行政法人ですから、最初はお堅い組織と想像していました。職員の平均年齢が40歳程度とあったので、コミュニケーションがうまくできないのではと不安にもなりました。しかし、入職前のカジュアル面談で竹本さんからGPIFの高度化などについて話をうかがってイメージが少し変わり、入職すると最初に抱いたイメージと全く違うことに驚きました。
門井
良い意味で多様性がありますね。たとえば投資運用部では、複数のディスプレイが支給され、キーボードやマウスも自由に選べますから。
竹本
職員や職場の雰囲気など、ソフト面での印象はどうですか。
門井
公的な機関なので、もっとお堅い人が多いのかなと僕も思っていました。でも、職員にも多様性があって、柔軟な考え方をする人も少なくありません。自由な議論が似合う環境だと感じました。
竹本
投資運用部の職員はほとんどが転職者で、様々な経験や知識を持った人たちが集まっているので、門井さんが言うように多様性があります。それに人数があまり多くなく、人と人との距離が近いので、疑問や課題があったら、すぐにみんなでディスカッションして解決を図るということが多いですね。特に、現在取り組んでいる運用の高度化に関しては、理にかなった意見なら、誰が発言したかに関係なく採用されて、組織として動くというところがあります。
門井
僕はこれまでアカデミアの価値観でやってきたので、実務経験の長い金融の人たちとは、運用に対して科学的な分析には意味があるのかどうかという議論をしたい。一方、もともと研究職だったという人も職員にはいるので、そういう人たちとは、どうしたら実務に沿った形で科学を使うことができるかといった検討も一緒にしたいと思います。実務畑の人は科学の知識を、科学畑の人は実務の知識を取り入れる必要があると思いますね。いずれにしても議論は面白いし楽しい。タフで大変なところもありますが、とにかく刺激的ですね。
宗田
入職した当初は、周囲に若手の職員があまりいないので不安があったのですが、先輩職員の皆さんがフレンドリーで、いろいろな相談にものってもらえますし、的確なアドバイスもしてもらえるので、不安はすっかり消えました。自分たちの部署でも他の部署でも、わからないことがあると、とにかく質問することにしています。
竹本
なるほど。人と人との距離が近いことがメリットとして働いていると言えそうですね。
宗田
上との距離が近いこともGPIFの特徴ですね。ある分析の結果をGPIF内に向けて発表したら、理事から直接メールで意見をもらって驚きました。
竹本
たしかに組織はフラットですね。
宗田
若手でも臆せず働けると思いますが、ただ若手職員には、自分から聞きにいくという主体性は絶対に必要だと思います。
門井
そのとおりです。これまでは職員が少ないので、それぞれが自分の仕事をひとりですれば、それでよかった面もあるのではないかと思います。いわば「たこつぼ」の中にいるようなものだったかもしれませんが、これから職員が増えると、連携してプロジェクトに取り組むことが多くなるはずです。そうなると、僕たちのような若い職員には、より主体性が求められるようになり、また、「たこつぼ」を割っていくことが必要になると思います。
竹本
若手職員にとってGPIFの難しい点は、運用の高度化に向けて試行錯誤中なので、決まった業務が特にないということなんです。決まった業務があると、それを任せて「改善点があれば改善してほしい」といえばよいのですが、それができないので、二人の価値観や新鮮な見方を大切にして、気づいた点をどんどん変えてほしいと思っています。
門井
失敗して初めてわかることも少なくありませんから、失敗を恐れずに自ら行動することが大切ですね。良くも悪くも若手職員が少ないので、自立して働くことを求められていると感じています。
竹本
GPIFでは、これまで経験に基づいて行ってきた投資判断を、データサイエンスを用いて、科学的に合理的で、再現性のあるものにすることを目指しています。お二人はGPIFの業務の中で、どのような目標を持っていますか。
門井
現在は手動で行っている作業を自動化して、いろいろな負担を軽減したいですね。
竹本
データサイエンスを用いた投資判断といっても、机上の空論になっては意味がないので、実務もしっかりと見ることが重要です。つまり大切にしてほしいのは理論と実務のバランスをとることなんです。二人にも理論と実務の両方を知った上で、自分たちなりの最適解を見つけてほしいですね。
門井
僕が身につけたいことは三つあって、一つ目は、金融の実務というか知識が欠けているので、それを学んで他の人と議論する土台をつくりたいと考えています。次は金融の知識とサイエンスの知識に基づいて、投資収益をきちんと出せるようになることです。最後は、寝技というかネゴシエーション力を身につけたいと思っています。自分の考えや意見を実現するためには必要で、もっとも自分に欠けているものです。
竹本
そんなに謙遜しなくても(笑)。
門井
GPIFという箱は大きく立派だけど、箱の中にいる自分の実力が足りなくて、箱を埋められないという感じです。
竹本
きっと埋められると思いますよ。宗田さんはどうですか。
宗田
GPIFに入る前から証券アナリストの勉強を一応しているんですが、会議などに出てみると、テキストを超えたマーケットの話題が交わされたり、実務に関する暗黙の了解のような話はテキストに載っていなかったりするわけです。そういうテキストを読んだだけでは身につけられないことをキャッチアップしたいと思います。
竹本
そうですね、テキストに載っている金融知識は、自分で学んだほうが効率的に身につくと思います。実際のマーケットの動きはダイナミックに変わり、テキストではとらえきれないので、その都度キャッチアップする姿勢が必要です。
宗田
あとは、リスクの分析などに関して、「宗田に頼めばやってくれる」と言われるようなポジションをつくりたいですね。
竹本
「要因分解なら宗田」と、今すでに言われているぐらいだから大丈夫。つくれると思うよ。二人は新卒の職員として、まさに新しい道を切り開いている最中だと思いますが、今後新卒の後輩が増えていくとして、どんな人と一緒に仕事がしたい?
宗田
GPIFに興味を持った時点では金融の専門知識は必須のものではなく、それよりも、いろいろなことに興味を持ったり、自主的に動いたり、わからないことに対して身軽に質問しに行ったりする力は必要だと思います。GPIFには新卒の職員が少ないので、定められたことや、決まったレールといったものがありません。そういったことから、主体性はかなり重要だと思います。
門井
僕は主体性もさることながら、批判的な考え方ができることが一緒に働く上で大事だと思っています。たとえばデータも、正しい考えのもとで用いないと、単なる数字遊びになってしまいます。数字遊びになっていないかどうかをチェックするには、自分たちや会社がやろうとしていることや求めていること、あるいは方向性を冷静に批判的に見ることが必要です。そういうことができる人、批判した上でどこがおかしいかをまとめて正せる人と働きたいと思っています。組織のためになるような形で批判してくれる人が入ってくれると助かりますね。
竹本
なるほど。たしかに、GPIFが取り組んでいる運用の高度化は、何が正解かわからない手探りの状態で進んでいるので、良い提案は年次に関係なく採用しようという共通認識があります。そうした意味では、能動的に動ける人や批判的な考えをもってより良い方向性を模索できる人にとっては、すごく魅力的でやりがいのある職場環境だと思います。そしてそれはGPIFにとっても、組織内に新しい風を吹かせる良い機会になると、私自身も二人を見て実感しています。
ぜひ今後も、自分から動いて何かを成し遂げたいと思っている人や、腕に自信のある人には、GPIFに入職して、一緒に働いてほしいですね。