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GPIF JOB INTRODUCTION GPIFのお仕事紹介

職員インタビュー  GPIF staff interview

投資運用部 投資調査グループの仕事

投資運用部は、基本ポートフォリオに基づくリバランス(資産配分の調整)戦略の策定や運用を外部委託するファンドの選定・モニタリングなど、年金積立金のうち、伝統的資産(株式と債券)の投資判断を担当する部署です。このうち投資調査グループは、こうした投資判断に活用できるような分析や投資環境の調査を担当しています。

下吹越俊/投資運用部投資調査グループ所属。シニア・クオンツ・アナリストとして、データをもとに超過収益獲得にむけた分析モデルの研究や、ポートフォリオのモニタリングに利用するツールの開発などに従事。

ポートフォリオをタイムリーにとらえてGPIFの投資判断を支える

GPIFは制度上、株式の個別銘柄を自身で選択して投資することができません。国内債券など一部の資産で自家運用を行っていますが、大半の資産は外部の運用機関に運用を委託しており、委託するファンドの数は約150にのぼります。約200兆円という資産規模で外部委託中心の投資手法を採る機関投資家は、実は世界でもかなり珍しい存在です。GPIFのポートフォリオはいわばファンドの集合体であり、GPIFがポートフォリオを最適化するには、個々のファンドの膨大なデータ活用が欠かせません。

私が所属する投資調査グループは、そのデータ活用を担うチームで、プログラミングに明るいメンバーも多く在籍しています。

リバランスをはじめとする適切な投資判断を行うには、ポートフォリオの状況をタイムリーに捉える必要があります。そのためには、個々のファンドの運用状況を精緻に把握することが欠かせません。かつてはファンドデータの収集・分析に時間がかかっていましたが、投資運用部でデータ処理の効率化やファンドデータの積極活用を行い、ポートフォリオを迅速かつ具体的に把握するツールを開発しました。その結果、GPIFとして、よりきめ細やかで能動的なポートフォリオ管理を行えるようになりました。

基本ポートフォリオの考え方

ファンドデータ活用がGPIFの強みとなることを目指す

GPIFは厚生労働大臣から与えられた2024年度までの中期目標において、基本ポートフォリオ並みの収益率、すなわち市場平均収益率の確保が求められています。私たちは市場平均を上回る超過収益を獲得するために様々な取り組みを行っており、その一つが優れたアクティブファンドを選び運用を委託することです。GPIFは長年培ってきたファンドの選定・評価ノウハウを継続的にブラッシュアップしながら、より超過収益獲得の確信度が高いアクティブファンドをポートフォリオに組み入れることを目指しています。

<用語集へのリンク>
アクティブ運用

ファンドの選定プロセスでも、データの重要性はさらに高まっています。投資調査グループでは、選定候補先から収集した過去の取引データをプログラム処理にかけて多彩な切り口で可視化・分析を行い、ポートフォリオマネジメントグループや委託運用グループと密に情報連携しながら、選定プロセスを支えています。

また、ファンドの新しい定量スクリーニング手法や評価手法の研究も担っており、今後のGPIF内のデータ活用の知見を高めていくことも、私たちの重要なミッションです。昨年はデータ活用について先進的な取り組みを行っているニューヨークの取引先に1ヵ月研修に行き、新しい学びの連続で非常に刺激的な日々を過ごしました。帰国後はその経験をもとに、より良い選定プロセスの構築に向けて邁進しています。

※画像出典:年金積立金の運用とは/分散投資の意義①1位になる資産は当てられない

 

一日の業務の流れ(イメージ)
  • 8:30
    前日のポートフォリオの資産構成推計値を配信
  • 10:00
    管理運用状況のモニタリング会議
  • 11:00
    より詳細な前日のポートフォリオ情報を配信
  • 11:45
    昼食
  • 12:45
    プロジェクトの進捗報告会
  • 14:00
    分析モデルの研究や運用モニタリングツールの新機能開発
  • 17:00
    新規アイデアのディスカッション
  • 18:00
    事務作業
  • 19:00
    業務終了

データ活用の必要を感じてプログラミングのスキルを独学で習得

資産運用に関連するキャリアを歩みたいという希望があったので、大学卒業後に資産運用部門のある信託銀行へ入行しました。その後、GPIFに転職したのも、世界最大の機関投資家で年金積立金の運用業務に携わることは、他にはない体験だと考えたためです。

GPIFに入職して改めて感じたのは、年金積立金の運用規模の大きさと、ファンドに関するデータが膨大にあることでした。入職当時はちょうどデータ活用の重要性が言われ始めたころで、データの活用はGPIFの業務で応用範囲が広いと感じ、自分自身のスキルアップも兼ねて、独学でプログラミングの勉強を始めました。理系出身だったこともあり、プログラミングに対して抵抗があまりなかった点はラッキーだったと思っています。

また、プログラミング以外にも、ファイナンスや統計学の知識、そして、英語力があれば、より投資調査グループの仕事に役に立つと思います。ただし、スキルがなければ仕事ができないわけではありません。そもそも求められるスキルが変わったり、時代に合わせて高度化したりするので、常に学んで更新していく姿勢が大切だと考えます。

多様性に富んだスタッフが集まり変化することに躊躇しないGPIFの組織風土

GPIFには、多様なバックグラウンドを持つスタッフが集まっているので、新しいことに寛容で、変化することに躊躇しない組織風土があると感じています。また、組織が比較的フラットで、立場に関係なく誰もが意見を言いやすく、優れた意見やアイデアは受け入れられる環境にあります。

GPIFでは部署をまたいだコミュニケーションも活発で、他の部署やスタッフから刺激を受けることも少なくありません。バックグラウンドが異なるスタッフから受けた刺激をモチベーションにつなげて、新たなアウトプットとして還元したいと考えています。

データ分析の目的は年金積立金の安定運用というGPIFのミッション達成のため

私がデータ分析を提供する上で、もっとも大切にしていることは正確さです。チームで分析に取り組み、複数の目でチェックしたデータを提供するようにしています。もう一つ大切にしていることは、何のためにデータ分析を行い、何を実現したいのかという点です。プログラミングはあくまで手段であり、「年金積立金の安定した運用」というGPIFの目的達成に資するものを提供することを原則として業務に取り組んでいます。

データはいわば食材で、様々なデータを集めて調理し、料理に仕上げて各部署に提供しています。データは分析という調理次第で、料理の味わいが大きく変わります。提供したデータの分析を「おいしい」、つまり「役に立つ」と言ってもらえると、この仕事のやりがいを強く感じます。

年金積立金の運用のために次代につながる組織への成長を目指す

今後は、GPIFが保有する未利用データのさらなる掘り起こしを進めるとともに、データの分析・活用をGPIF全体に広げていきたいと考えています。また、チームではデータサイエンスや金融工学などを組み合わせて、年金積立金の運用やリスク管理の高度化に資する技法の研究開発がテーマにあがっています。このような取り組みを通じて、私たち自身の成長を図ると同時に、GPIFという組織の成長を促すことも実現したいですね。

年金積立金の運用は、将来世代のために長く続くものであり、それを支えるGPIFも成長し、人材を育てて次代につないでいく必要があります。データの調査・分析活動を通じて、その一端を担いたいと考えています。