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GPIF JOB INTRODUCTION GPIFのお仕事紹介

職員インタビュー  GPIF staff interview

投資運用部 投資調査グループ エコノミストの仕事

エコノミスト業務は、年金積立金の安定した運用やポートフォリオのリバランス(資産配分の調整)に向けて、マクロ経済や金融政策のほか金融市場の調査・分析を主に担当します。また、調査・分析の内容を論文としてまとめ、「GPIFワーキングペーパー」として公表しており、学会などでも発表しています。

齋藤周/投資運用部投資調査グループにおいて、シニア・エコノミストとして、マクロ経済や金融政策、金融市場の分析を担当。分析結果をGPIFで行われるリバランスに関する会議(投資委員会)などに報告しているほか、「GPIFワーキングペーパー」として公表する論文などを作成。

グローバル経済・金融市場の動向を、広い視野で調査・分析

私がエコノミストとして担当しているマクロ経済や金融政策、金融市場の分析結果は、同じ投資調査グループのクオンツ・アナリスト(統計的・計量的方法などを用いて投資対象を分析する専門家)がまとめたポートフォリオの状況を示すデータなどとともに、年金積立金の運用の方向性を検討するチームに共有されます。

マクロ経済の分析は、商品やサービスの生産やそれに向けた設備投資、消費などの実体経済を分析対象としています。GPIFは年金積立金を国内外の株式や債券に投資しているため、実体経済の動向が金融市場に及ぼす影響の分析が欠かせません。分析の対象となるフィールドはグローバルに広がっているため、見落としがないよう広い視野を持って調査・分析に臨むことが重要です。

※画像出典:2023年度の運用状況>業務概況書>GPIFの紹介

調査・分析のテーマは、GPIFの運用に必要とされるテーマは何か、どのような事象に注目するべきかといったことを、投資調査グループのメンバーで意見を持ち寄って相談して決定しています。

GPIFの見解は国内外の関係機関からの関心も高い

諸外国の経済や金融市場の動向調査においては、諸外国の関係機関と定期的に情報交換を行い、現地の専門家から見解を得ています。情報交換の相手には主要国の中央銀行や機関投資家、大手金融機関などがあり、現地ならではの情報を得られることから、諸外国の関係機関とのコミュニケーションはエコノミストにとって重要な業務です。

GPIFは世界最大規模の機関投資家であり、アクティブ運用の強化やESG投資など注目度の高いテーマにも積極的に取り組んでいることから、GPIFの動向や見解には高い関心が寄せられています。そのため、たとえば経済や金融市場に大きなショックが発生した場合や、主要国の金融政策が変更された際は、国内外の関係機関と情報交換をする機会も多くなります。そのため、GPIFのエコノミストとしては、年金積立金の運用に資する情報を得ることや、データに基づいた客観的な考え方を共有することを心掛けています。

一日の業務の流れ(イメージ)
  • 9:00
    事前に収集した情報から資料を作成
  • 10:00
    管理運用状況のモニタリング会議
  • 11:45
    昼食
  • 12:45
    ワーキングペーパーの作成に向けた金融市場の分析
  • 14:00
    業務委託先とマクロ経済状況に関するミーティング
  • 15:30
    同じチームの職員による分析結果のミーティング
  • 17:00
    事務作業
  • 18:00
    業務終了

グローバルな視点からの分析を通して日本経済に貢献したい

大学院では経済学を専攻し、前職のシンクタンクではエコノミストとして主に国内のマクロ経済分析を担当していました。その後、金融機関の市場部門でマクロ経済に加えて金融市場の分析も行うようになりました。マクロ経済の調査・分析は明確に答えが出ないことも多いことに対して、金融市場では調査・分析の結果が資産価格という形で明確に示されることに面白さを覚えました。

GPIFでも、年金積立金の運用に結びつくマクロ経済と金融市場の分析を行っており、国内市場にとどまらず、グローバルな視点からの分析を求められます。取り組むべきことは多いですが、仕事のフィールドがより大きく、自身の分析が年金積立金の運用に役立ち、ひいては日本の社会や経済に貢献できることに、強いやりがいを感じています。

※画像出典:GPIF植田CIOに聞いてみよう 年金を運用して大丈夫?>1年でみるか、7年でみるか。GPIFの運用実績

前例のない状況こそ客観的な姿勢が必要

マクロ経済や金融市場の分析で心がけているのは、自分の分析が主観的なものに偏っていないか、客観性を保っているかを考える姿勢を持つことです。エコノミスト業務に限った話ではありませんが、マクロ経済ではこれまで起きたことがない状況や、経済学のテキストではカバーされていない事象が発生することがあります。たとえば、2020年には新型コロナウイルスの世界的な感染拡大によって、主要な中央銀行は相次いで大規模な金融緩和に踏み切りました。

新型コロナウイルスについては当初からその感染力や症状に関して様々な情報が飛び交ったり、大規模な経済対策や金融緩和が行われたりしたため、金融市場にどのような影響が生じるかが不透明な時期がありました。

こういった状況のなかで、主観に偏ってデータを収集して分析すると、見当違いの結論を出してしまうことになりかねません。実体経済と金融市場との関係を正確に予測することは非常に難しいですが、バランス感覚をもってデータを収集し、より客観性が高い調査・分析を行うことがエコノミストの果たすべきミッションであると考え、強い責任感を持って業務に取り組んでいます。

分析や研究を取りまとめた「GPIFワーキングペーパー」を公表して知見を収集

分析の作業は、各自がテーマを持ち寄ってチームで検討し、そこで採用されたテーマでスタートします。自分の提案したテーマが採用されるとうれしく思いますし、他のメンバーが提案したテーマでも、年金積立金の運用に貢献できそうな分析結果が得られると、達成感や充実感を味わえます。とはいえ、分析そのものがうまくいかなかったり、運用には役立ちそうもない結果が出たりすることも多いため、まだまだスキルアップが必要だと感じています。

分析の精度をより高めて役に立つ結果を多く導き出せるよう、GPIF内外の関係者との情報交換を積極的に行ったり、調査・分析の内容を論文に取りまとめた「GPIFワーキングペーパー」を公表したりして、国内外から知見を幅広く収集することに努めています。

たとえば過去に公表した「GPIFワーキングペーパー」では、FRB(米国連邦準備制度理事会)が四半期ごとに公表する政策金利の見通しについて、金融市場へ与えるインパクトを分析しています。こうした取り組みを重ねて、年金積立金の運用に役立つ分析を少しでも多く提供できるよう心掛けています。

※画像出典:GPIFワーキングペーパー>ドットチャートの形成と金融市場・経済のダイナミクス

数字の裏にある人々の生活を意識して、自身のスキルアップを心掛ける

GPIFが委託運用しているファンドの運用成績をはじめ、金融や経済における動きは、数字で表現されることがほとんどです。しかし、それらの金融や経済を表す数字の裏には人々の生活があり、年金がその一端を支えていることを意識するようにしています。

マクロ経済や金融市場の分析にあたっては表面的にデータを見るのではなく、その裏にある関係性を論理的に探ることが大切です。データの関係性を探るためには、適切なデータ処理を行うための統計学やプログラミングの知識が役立ちます。また、データ分析の結果を論理的に考察するためには経済学や金融の知識があることが望ましいです。こういった知識を深めていくとともに、身に着けた知識を用いて市場を多角的に見ることで、よりバランスの取れた客観性の高い分析を行っていくよう心掛けています。