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GPIF JOB INTRODUCTION GPIFのお仕事紹介

職員インタビュー  GPIF staff interview

ESG・スチュワードシップ推進部の仕事

GPIFが長期的な投資収益の拡大を図る観点で推進している、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)を考慮する投資や、スチュワードシップ責任を果たすための活動を担うチームです。具体的には、ESG指数の選定や委託先運用会社のスチュワードシップ評価などに加え、GPIF全体のESG関連の取り組みをサポートしています。

<用語集へのリンク>
スチュワードシップ
スチュワードシップ責任

八木美菜/ESG・スチュワードシップ推進部ESG・スチュワードシップ推進課所属。ESG投資やESG情報開示に関連する業務を担当し、ESG活動報告の作成や、ESG投資の効果測定に関するプロジェクトなどに従事。

ESGの動向を多面的に分析し、次の取り組みに生かす「ESG活動報告」を作成

GPIFは、資本市場を幅広くカバーするユニバーサル・オーナーかつ世代をまたぐ超長期投資家として、年金積立金を長期間にわたって安定的に運用し、着実なリターンを上げることを目指しています。そのためには、気候変動などの環境問題、ダイバーシティなどの社会的な課題、企業統治上の問題など、資本市場に負の影響を与えるリスクを抑制し、市場の持続可能性の向上を図ることが重要と言えます。

※画像出典:ESG投資/ESG投資とは

ESGは対象となる分野が広く、世界的な関心も高いためか、新しい課題が次々と登場する傾向があります。たとえば環境問題なら気候変動が言及されることが多いですが、欧州では生物多様性の問題もクローズアップされるようになっています。また、社会的な課題では、ダイバーシティやジェンダー平等に加えて、最近ではサプライチェーンなどの問題が取り上げられることが増えているのです。

こういった状況の変化に対応しつつ、GPIFのESG投資の効果について多面的な評価を行い、次の取り組みに生かすため、GPIFでは毎年、「ESG活動報告」を公表しています。内容はGPIFのESG活動だけでなく、各国の政策や企業の動向の分析に及んでおり、この活動報告の作成が私の業務の一つです。私は企画からデータの収集や分析、原稿の執筆、校正までの一連の作業を担当しています。

※画像出典:2022年度 ESG活動報告

開始から6年経過したESG投資の効果を検証する「効果測定」もスタート

GPIFがESG投資を本格的に始めたのは2017年です。そこから6年あまりが経過したことから、GPIFのESG指数に基づく投資や、投資先企業とのエンゲージメント※などのスチュワードシップ活動が、企業価値向上につながったのかについて、今年度(2023年度)から調査・検証します。この効果測定プロジェクトは、GPIFのESG投資に関する膨大な過去データをもとに、数値で定量的に検証することになっています。その作業を効率的に行うためにも、統計学やプログラミング、データサイエンスに関する知識やスキルを身につけたいと考えています。

※GPIFは制度上株式に直接投資できないため、投資先企業とのエンゲージメント(長期的な企業価値向上のための建設的な対話)は、委託先の運用会社が実施している

※画像出典:ESG投資/GPIFのESG投資の取組み/ESG指数に基づいた株式投資

 

一日の業務の流れ(イメージ)
  • 9:00
    メールチェック
  • 10:00
    国内運用会社のESG担当者とミーティング
  • 11:45
    昼食
  • 12:45
    ESG活動報告の編集作業
  • 16:00
    ESG活動報告の編集会議
  • 17:00
    ESG投資の効果測定に関する会議
  • 18:00
    欧州のESGデータプロバイダとミーティング
  • 19:00
    業務終了

金融・統計学・プログラミングなどESG投資に必要な知識を吸収

GPIFに入職する前は物流関係の企業に勤めていました。父親の仕事の関係で海外での暮らしを経験したこともあって、日本の文化や日本企業の取り組みといったものへの思いが強く、それらの魅力を伝える仕事に就きたいと思っていました。そうした折にGPIFがESG投資に力を入れていることを知り、日本の魅力を発信することに携われるのではないかと考えて転職を希望したのです。

ESG投資関連の業務で金融の専門知識がないと携われないといったことはありませんが、別業界からの転職ということもあり私自身は苦労したため、GPIFに入職後に証券アナリストの資格取得に向けた勉強を始め、専門知識を学びました。また、環境問題に関係する分野の知識のほか、統計学やプログラミングなどのスキルも同様に学んでいます。このように、多くのことに興味を持つ好奇心と、必要な専門知識を学び吸収する姿勢や意欲が、ESG投資関連の業務では大切だと思います。

ESG投資が盛んな海外での情報収集のために英語力を磨く

ESGは常に変化しているので、国内外の動向に常にアンテナを張り、新しい情報を収集することが必要です。ESG投資は特に欧州で盛んに行われていることから、現地のESGデータプロバイダや運用会社との情報交換も欠かせません。そのため、少なくとも年に1回は欧州へおもむき、情報収集にあたることが業務の一環になっています。収集した情報はESG投資の参考にすることはもちろん、ESG活動報告やESG投資の効果測定などにも利用しています。

このように、ESGに関係する海外の公的年金基金や政策当局者、ESG投資を重視する運用会社などと接触する機会が多いので、意見交換や議論ができる程度の英語力が欠かせません。そのため、英語力のさらなる向上を図り、コミュニケーション能力を磨きたいと考えています。

ESG活動報告の作成は緊張感と達成感が同時に味わえる業務

ESG活動報告に掲載されるデータは公開され広く活用されるので、数値の校正には特に慎重を期しています。原稿の表現についても、マーケットに誤解を与えてしまうことがないよう、制作メンバーで検討を重ねています。

こうして作成したESG活動報告は、運用会社や評価会社からの関心が高く、世界中から問い合わせなどの連絡が入ったり、様々なコメントが寄せられたりします。また、活動報告を通じて海外のESG投資研究者とつながりができたこともあり、思いがけない展開に驚くとともに、業務に対する手応えややりがいを感じることができました。ESG活動報告は、緊張感を持って取り組まなければならない業務であると同時に、得られる喜びや達成感も大きい業務と言えますね。

※画像出典:2022年度 ESG活動報告

年金に対する使命感や目標の共有がESG投資の後押しになる

ESG・スチュワードシップ推進部の業務は、投資運用部などと連携したり、他部署に意見を求めたりしながら進めています。GPIFはコンパクトな組織のため、どのスタッフが何を専門としているのか把握しやすいので、気軽に相談できて意見やアドバイスをスムーズに得ることができます。また 、様々なバックグラウンドを持った人がいるので 学びや経験の幅も広くなっていっていることを実感できています。

GPIFは組織全体で「年金積立金を将来世代のために確実に運用する」という使命感や責任感が共有され、スタッフが同じ目標に向かって業務にあたっています。その組織風土がESG投資とスチュワードシップ活動を強力に後押ししてくれていると考えています。